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りんく


東京都 高橋美由紀先生

1.ねらい

身近な材料を使った日常生活に役立つ商品を自分たちで考える。
実験方法を考え、試行錯誤しながら商品を開発する。
開発した商品を日常生活で利用し、その効果を調べる。

2.みかんの皮を使った教材(卒業生が考えたもの)

(1) みかんエタノール
みかんの皮をはさみで細かく切ってペットボトル(500ml)に入れ、エタノールを入れてみかんの皮の成分を抽出する。
(2) みかん石けん
みかんエタノールを入れた手作り石けん。普通の石けんよりも油汚れが良く落ちる。(青山中みかんプロジェクトのオリジナル。)
(3) 「みかん石けん」の作り方
オルトケイ酸ナトリウム10gと水25gをビーカーに入れ、湯せんで加熱してとかす。
iにみかんエタノール20mlを入れ、湯せんで加熱しながらよくかき混ぜる。
iiに使用済み食用油50mlを少しずつ入れ、湯せんで加熱しながらよくかき混ぜる。
白っぽくなってきたら、型に入れて固め、1ヶ月ほど熟成させてから使用する。

3.学習展開(生徒たちが考えながら行ったもの)

(1) みかんエタノールでペットボトルロケットを飛ばす(2年生8時間)
第1時《みかんの皮の利用法》
・利用法について話し合う。
・利用法を調査する。(アンケートやインタビューなど)
・みかんの皮を使った実験を考えてくる。
第2時《実験の計画を立てる》
・みかんの皮のどの部分を利用し、何を作るか班で話し合う。
・実験に使う器具、薬品、道具などを考え、次回持ってくる。
第3〜5時《みかんエタノールを燃料にしたペットボトルロケットを飛ばす実験》
・みかんエタノールを蒸留し、出てきた液体を調べる。
・みかんエタノールをスプレー容器に入れてペットボトルの中に吹き付け、酸素を混ぜて燃料にする。
・ペットボトルのフタに直径5mmの穴をあけ、火をつけて飛ばす。
・工夫しながら発射台を作り、飛距離をのばす。
第6〜7時《実験のまとめ》
・自分たちで実験結果について考え、話し合う。
・考察する。
・実験結果を模造紙にまとめる。
第8時《実験結果の発表》
・模造紙、製作したものなどを使い、班ごとに発表する。

(2) みかんの皮で食品・香水を作る(2年生8時間)
第1〜2時は(1)と同じ。
第3時《オレンジピールを作る》
・みかんの皮を刻んで鍋に入れ、砂糖と水を入れて加熱する。水が少なくなるまで煮つめる。
・先生、主事さん方に試食してもらい、感想を聞く。
第4時《オレンジティーを作る》
・オレンジピールが固まってしまったので、紅茶に入れ、香りを楽しむことにする。
・皮の苦みが残ってしまった。
・皮を取り出し、煮つめて飴をつくることにする。
第5時《煮つめて飴を作る》
・オレンジティーを鍋に入れ、煮つめて飴を作る。
・友達や先生に試食してもらい、感想を聞く。
第6時《みかん香水を作る》
・グレープフルーツの皮の白い部分を取り除き、黄色い部分を水に入れて加熱する。
・香りの成分がお湯の中に溶け出すと香水になる。
・第7〜8時は(1)と同じ。

(3) みかん石けんを作る・みかんの皮の利用法(2年生8時間)
第1〜2時は(1)と同じ。
第3時《「みかん石けん」を作る実験》
・自分たちで考えたいろいろな汚れに「みかん石けん」をつけて、汚れが落ちるか調べる。
・ 普通の石けんや合成洗剤と比べてみる。
・ 実験結果をまとめる。
第4時 《実験の計画を立てる》
・みかんの皮のどの部分を利用し、何を作るか班で話し合う。
・実験に使う器具、薬品、道具などを考え、次回持ってくる。
第5〜6時《みかんの皮を使った実験を行う》
・自分たちで考えた方法で実験を行う。
・うまくいかないときは班で話し合い、実験 方法を修正する。
・実験結果をまとめる。
第7〜8時は(1)と同じ。

(4) 「みかん石けんキット」を作る(3年生7時間)
第1時《実験の計画を立てる》
・「みかん石けん」をどのように改良するか考える。
・実験に使う器具、薬品、道具などを考え、次回持ってくる。
第2〜3時《色々な柑橘系の皮を使って「みかん石けん」をつくる》
・レモンやゆずを使って「みかん石けん」を作る。
第4〜5時《「みかん石けんキット」を作る》
・ペットボトルに必要な薬品を入れ、家庭にある材料を入れれば家庭で「みかん石けん」が作れるように工夫する。
・取扱説明書とアンケートを作る。
第6〜7時《実験のまとめ・発表》
・実験結果について考え、考察する。
・実験結果を模造紙にまとめる。
・模造紙、製作したものなどを掲示する。

(5) 「魚のエサ」を作る(3年生 7時間)
第1時《市販されている「魚のエサ」を調べる》
・材料は何か、どんな成分が入っているか調べる。
・魚にエサをやり、反応を調べる。
第2時《実験の計画を立てる》
・どんな材料を利用し、どのように作るか班 で話し合う。
・実験に使う器具、薬品、道具などを考え、次回持ってくる。
第3〜6時《魚のエサを作る》
・小麦粉をガーゼに包み、水の中で良くもんでタンパク質を多く含むグルテンを取り出す。
・グルテンを乾燥させ、魚のエサにする。
・ホットケーキミックス、薄力粉、パン粉などいろいろな材料で試してみる。
・作ったエサを魚にやり、反応を調べる。
第6時《実験のまとめ》
・自分たちで実験結果について考え、話し合う。
・考察する。
・実験結果を画用紙にまとめる。
第7時《実験結果の発表》
・画用紙、魚のエサ、魚の入った水槽を展示する。

4.まとめ

生徒が商品を自分たちで考え、実験方法を工夫しながら商品を開発する問題解決的な学習を行うことで、自ら学び自ら考える力を育成することができた。
また、身近な素材を使った日常生活や環境保全と関わりのある実験を行うことにより、生徒の興味・関心を高めることができ、理科を生活に役立つものとしてとらえさせることができた。
以上のことから、総合的な学習の中で実験を行うことは重要な意味を持つと考えられる。